研究内容

原子核物理、科学コミュニケーション、高等教育開発の分野で研究をしています。

【原子核物理】

原子核は、原子の中心にある非常に小さな物質で、陽子と中性子という二種類の粒子の集合体です。原子核は、宇宙にある恒星たちを輝かせ、はたまた、多様な元素をも、この宇宙にもたらしてくれます。実は、僕たちの体重の99%以上はこの原子核からきています。

原子核は有限個(数個~数百個)の量子力学的粒子の集合体(有限量子多体系)であり、とても豊かな性質を持つ不思議な存在です。その原子核の性質を、理論的に(数式とコンピュータを用いて)研究しています。もちろん、実験データとの比較も視野にいれて研究しています。

量子力学に基盤を置いた原子核構造論や原子核反応論を用いて、中性子過剰核の物理を理論的に研究しています。特に、中性子過剰核における対相関(超流動性)の効果に着目しています。その対相関の効果が中性過剰核における1中性子共鳴現象や中性子捕獲反応にどのような影響を及ぼすのか、を解明することを目指しています。さらには、その研究で得られた知見を、重元素合成の主な反応経路であるr過程や、中性子星内殻の物理に応用しようと考えています。

[最近の研究成果]

Yoshihiko Kobayashi and Masayuki Matsuo

"s-wave quasiparticle resonance in neutron-rich drip-line nuclei"

Progress of Theoretical and Experimental Physics, Vol.2020, Issue 1, 013D03 (2020)

Yoshihiko Kobayashi and Masayuki Matsuo

"Effects of pairing correlation on low-lying quasi-particle resonance in neutron drip-line nuclei"

Progress of Theoretical and Experimental Physics, Vol.2016, Issue 1, 013D01 (2016)

【科学コミュニケーション】

「科学コミュニケーション」という言葉を知ったのは、2009年くらいでした。当時の行政刷新会議(いわゆる事業仕分け)でのスパーコンピュータ「京」に関する一連の騒動をキッカケに、社会の中での科学の在り方について強く興味を持つようになりました。

現在は、科学コミュニケーションという理念の理解を深めると共に、自らもサイエンスカフェなどの活動を通して、社会における科学の在り方について思いを巡らせています。

最近は、科学コミュニケーターが持つべき能力の明確化、科学コミュニケーション活動におけるアクティブラーニング手法の活用、水俣病問題などに関心があります。

[最近の研究成果]

小林良彦・中世古貴彦

「科学技術コミュニケーターに求められる職務及び職能に関する試行調査:JREC-IN Portalに掲載された求人情報を用いた分析」

科学技術コミュニケーション Vol.25 p3-p16 (2019)

小林良彦・川村桃子・栗林なな子・椎谷郁花・玉木駿佑・眞鍋達郎・宮田恵理・村田菜摘・阿部ふく子・中野享香

「大学院生による分野横断型イベント『学び合いカフェ』の実践:新潟大学における科学技術コミュニケーション活動の報告」 

科学技術コミュニケーション Vol.22 p17-p32 (2017)

【高等教育開発】

九州大学に勤めていたときに、Faculty Development(ファカルティ・デベロップメント;略して「FD」)に関わっていたこともあり、高等教育開発に興味を抱くようになりました。FDとは、大学の教育・研究能力を高めるための研修のことを指します。教授法に関する研修や大学の教育改革に関する講演会がその例になります。一方で、高等教育開発は「授業やカリキュラムの改善、ならびに教育・学習に焦点化された組織開発、そして教職員の専門的能力開発」と説明されます(日本高等教育開発協会のウェブページより抜粋)。高等教育開発に関わる研修会がFDだと、僕は理解しています。

高等教育開発の中でも、特に、理数系教養教育やアクティブラーニング手法に関心があります。また最近では、サイエンスライティングを含む、ライティング教育にも注力しています。

[最近の研究成果]

小林良彦・野瀬健

「初年次学生向け総合的実験科目の大学間比較」 

基幹教育紀要 Vol.6 p83-p98 (2020)

小林良彦・中世古貴彦・野瀬健

「次世代型大学教育開発センターが開催したFDの九州大学における位置づけ」

基幹教育紀要 Vol.5 p99-p108 (2019)