◆Faculty Development (FD)◆

Faculty Development(ファカルティ・デベロップメント;略して「FD」)とは、大学の教育・研究能力を高めるための研修のことを指します。教授法に関する研修や大学の教育改革に関する講演会がその例になります。

◆FDとは?◆

「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称。その意味するところは極めて広範にわたるが、具体的な例としては、教員相互の授業参観の実施、授業方法についての研究会の開催、新任教員のための研修会の開催などを挙げることができる」

と説明されています。また、『大学のFD Q&A』では、FDを以下のように説明しています。

「授業・教授法、カリキュラム、制度・規則・組織の改善・改革、教員の専門能力開発のための組織的な取り組み」

FDの内容は、各大学の状況や個性に依存するため、標準化・均質化できない面があります。ただし、その概観をつかむための分類や基準に関する知見は積み上げられています。

『大学・短大でFDに携わる人のためのFDマップと利用ガイドライン』(←PDF)では、個々の教員による授業・教授法(ミクロ・レベル)、カリキュラム・プログラム(ミドル・レベル)、組織の教育環境及び教育制度(マクロ・レベル)と大分類されています。そして、それぞれのレベルの研修会で、新任教員や中堅教員が達成すべき目標が書かれています。

また、「新任教員FDのための『基準枠組』の開発・構成と開発研究の可能性」(←PDF)では、新任教員研修プログラムの基準枠組を「大学コミュニティについての理解」「授業デザイン」「教育の実践」「成績の評価、フィードバック」「教育活動の自己改善・キャリア開発、教育開発」の5つの観点で整理しています。

◆日本におけるFD小史◆

教育政策に着目しながら、日本におけるFDの広がりと課題について目を向けたいと思います。

初めて本格的にFDについて取り上げた政策文書は1997年の『高等教育の一層の改善について(答申)』とされています。その翌年には、『21世紀の大学像と今後の改革方策について-競争的環境の中で個性が輝く大学-(答申)』が出され、それを反映する形で、大学設置基準が改訂され、FDが「努力義務」化されました。その後、『新時代の大学院教育 -国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-(答申)』を受けて、大学院設置基準の改正が進み、2007年にまず大学院において、FDが義務化されました。それを追うように、大学設置基準も改正され、2008年には学士課程でもFDが義務化されました。以上のように、日本におけるFDは政策主導で、いわば、トップダウン的に広がったと言えます。この歴史的背景が、大学教員のFD参加状況にも反映されているのかもしれません

以上のようにFDは、大学設置基準によって、各大学での実施が定められています。が、大学教職員がそれに参加せねばならない、という決まりはありません。

※教育改善の状況調査は 大学における教育内容等の改革状況について(平成27年度)参考になります。

◆参考情報:アメリカの事例◆

アメリカの教育開発者ネットワーク The Professional and Organizational Development (POD) Network in Higher Education は「FD」よりも「ED(Educational Development)」という言葉を使用しています。このEDは、以下のような内容だと説明されています。

  • Faculty/Graduate Student/Postdoc Development
    一人ひとりの教授者や将来の大学教員に対するプログラムで、教授法や学生評価のみならず、キャリアプランニングや研究費申請書作成能力、大学の運営業務に関するものであるとされています。※日本のFDは教授法改善に留まりがちという指摘も耳にします。
  • Instructional Development
    学生の学びに焦点を当て、カリキュラム設計を行うことです。そこでは、各講義がカリキュラムの中でどう活きるのかを調べ、教育目標や教育手法を決定します。
  • Organizational Development
    効力を最大化する組織構造を探ります。ここには、大学教員や大学役員のリーダーシップ開発や運営能力開発も含まれます。

(参考:What is Educational Development?|POD Network